2007年10月25日木曜日

論説・携帯電話と中学生 危険回避へ大人の出番



中学3年生の三割が携帯電話を持ち、月額利用料3万円に上る生徒もいた―。こんな調査結果が小
■通話料より通信料

同校の調査はことし6月、全校生徒三300人を対象に実施し、95%にあたる285人から回答を得た。この高い回答率からは、生徒や父母の関心の高さを示すとともに、調査を行った学校の前向きな姿勢がうかがえる。
結果は、携帯電話を持つ生徒が1年生16%、2年生25%、3年生30%。年次が上がるごとに高くなっているが、意外に少ないという印象を受けた。というのも内閣府が同じ時期に中学生451人に個別調査をした結果は、携帯所有57%。他の調査結果でもおおむね50%前後という数字だからだ。
ただ同校は昨年秋にもいじめをテーマに全校調査を実施。結果、生徒の半数がいじめを経験したことが分かると、「死ね」「キモイ」「ウザイ」の3語の追放運動に取り組んだ。以前からこうした問題に全校を挙げた活動を展開しており、今回の調査もその延長線上にある。そんな牛津中だから、この程度の少ない数字だったかもしれない。
しかし安心してはいられない。同時期に行われた三菱総研の調べでは、中学生までの子どもを持つ親の70%以上が、位置情報が分かるなど何らかの携帯電話を持たせているか、将来持たせたいと思っていることが分かった。このままではいずれ、県内でも子どもの携帯電話所有は増えていく。
また同校の月額利用料は7688円と、全国平均5300円(二2006年、PTA全国協議会調べ)を大きく上回った。これは気になる。実は携帯電話は「電話」というより今や移動式インターネット端末。一般に利用者の多くが通話料より通信料を三3倍ほど多く払っている。中学生でも傾向は同じ。つまり電話よりメールやサイトをたくさん使っているはずだ。くどいようだが、全校で対応に取り組む牛津中でさえ、この金額。県内のほかの学校はもっと多い可能性が大きい。

■情報モラル教育を

インターネットは情報収集には本当に便利な代物。「居ながらの図書館」を実現させたが、同時にアダルトサイトなど、かつて子どもが立ち入れなかった「大人の場所」をも近づけた。性に目覚める思春期の中学生に、この誘惑は強すぎる。ここに性差はない。援助交際などはまさに携帯電話の産物だ。
ネットの普及で、近しい人からの便りを「一日千秋」の思いで待つ、などという風情は今や昔。若い人の多くは、この言葉さえ知らない。今はただでさえ「キレ」やすくなった子どもたちが、待つ間もなくメールをやり取りする状況にある。3年前、佐世保市で起きた女子児童同士の殺人事件を例に出すまでもなく、メールに端を発した事件はその後も枚挙にいとまがない。この危機を大人はもっと深刻にとらえるべきだ。
学校は携帯電話の持ち込みを禁じるだけでなく、既に多くの子どもが所有する現実を直視し、情報モラルをきちんと教えなければならない。ネットの使い方、便利さを指導する一方で、危険から自らを守り、被害に遭わない教育に力を入れる必要がある。
同時に、子どもに携帯を与えたり、与えようとしている親には、まずは自分の目で、子どもを誘惑する有害サイトの実態を確かめることを、お勧めしておきたい。

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