2000年8月22日火曜日

上海IT熱波(下) 中国子会社

 共立エレックス(本社・西有田町、西山泰雄社長)の中国子会社を、上海市に隣接する江蘇省蘇州に訪ねた。上海から車で約一時間、クリークが縦横に走る水郷地帯にその2つの子会社はあった。

■存続かけた策
 電子材料のニューセラミックスメーカー、共立製磁(当時)が、蘇州市に100%出資の子会社を設立したのは今から7年前の1994年4月。電子回路部品のチップ抵抗器用セラミック基板を開発、製造しフィリピンなど海外に輸出していた同社が厳しい円高に対処するため存続をかけた一策だった。

 4億円を投じ、約1万平方メートルの敷地に工場(延べ床面積約2200平方メートル)を建設し「蘇州共立電子工業有限公司」を設立。本社工場で成型したものをここで焼成、製品化する後工程を中心に操業を開始した。幹部を含め女子従業員60人のほとんどを現地で採用、スタートを切った。
 「困難の連続だったが、最大の難関は外資バランス規制。中国国内で生産した分は70%を外資にしろという、この規制はうちには重過ぎた。進出直前まで交渉を続け、ようやく50%の特例措置で手を打っての船出だった」と西山社長(58)。
 進出準備の段階から現地でさい配を振るってきた西村健二総経理(58)は「97年に突然、増値税(消費税)が掛けられた時は青ざめた。17%という高い税率。しかも輸出入ともにかかる2重課税。これでは操業できない」。材料を西有田本社から輸入、製造し再び輸出という同社の循環だと、もろに2重課税に引っかかり利益を出すどころか、生産するほどに赤字を増やしてしまう。

■WTO加盟急ぐ
 同社をはじめ外資系企業の猛反発で、すぐに輸出は8%に減額された。悪名高かった「外貨バランス規制」も昨年、撤廃された。WTO加盟を急ぐ中国の姿勢は明らかに変わってきたという。
 「共立」の中国子会社はその後順調に業績を拡大、ことし四月には同じ蘇州の呉懸市に第二工場である分公司を建設、従業員は双方合わせ三百人に増えた。あいにく今はIT関連の需要が落ち込み、せっかくの生産ラインも一部休眠状態だが「機械の点検をやるいい機会」と西村総経理の表情に屈託はない。
 西山社長も「人件費はもちろん電気代など製造コストが日本とは比較にならないほど安い。今では製品の七割は中国で生産している。最近は有田のメーカーや商社から、この際(不景気で)思い切って中国に進出したいという相談を受けるようになった。今後は県内からの中国進出が一気に増えるかもしれませんよ」と笑った。

【メ モ】
企業の中国進出 県内企業で海外に進出しているのは40社、うち12社が中国で操業する。世界の企業も続々進出、上海・浦東地区だけでもAT&T、GM、IBMやフォルクスワーゲン、ベル、三星などがずらり。日本の一部上場企業も多数顔を並べ700を超す企業がひしめく。蘇州にも550社が進出している。

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