2000年8月21日月曜日
上海IT熱波(中) 共同研究
「うちの学院への研究費は、この3年で国と市からそれぞれ6億元(1元=15.5円、93億円)、大学から5700万元と合わせて12億5700万元(191億640円)が配布された。これは北京大学などに次ぎ3番目に高い額だ」。上海交通大学電子信息学院の電子工学責任者、馬範援教授(59)は胸を張った。
■中高校まで網羅
北の大連理工大学と並ぶ技術系トップの大学として上海交通大学への国や市の期待は高い。研究費支援も以前に比べかなり上がってきたという。
同学院はIT(情報技術)関連だけでも光ファイバーや大型IC、大型通信の研究所を持ち、特に光ファイバー研究では国内トップの評価がある。また国内の大学をはじめ中高校まで網羅した教育ネットワークの中心的役割も担っている。
さらにデジタルやハイビジョンテレビ、音声入力などあらゆるIT分野の研究に取り組んでおり、そのすそ野は広く深い。このため研究費は「まだまだ足りない」(同教授)のが実情だ。
また、同市浦東地区には北京の「中関村」や深川郊外の「華南エリア」と並ぶ同国3大ハイテク基地のひとつ長江地域がある。ここには300社を超すベンチャー企業が集中。3つの基地の中で、その増加ぶりは際立っている。昨年は市の条例が改正され、これら起業家たちに免税などの優遇策も講じられた。
同学院もここにインターネットのセキュリティーやソフト製作などの研究所をつくった。他のベンチャー起業家らとの共同研究も盛んだが、企業からの研究支援は年間100万元程度にすぎない。資金需要はかなり強い。
■交流大きな一歩
同学院はまた以前から佐賀大学との間で金属素材などを共同研究している。今回の上海視察も、これが引き金だ。出発に当たって佐大の科学技術共同開発センター長で理工学部の新井康平教授から信書を預かっていた。
内容は共同研究の幅を広げ、企業化のノウハウにかかわるデータやソフトウエアなどの情報交換をやろうという提案。当然その先には県内と上海の互いの企業間の情報交換やマーケット進出の狙いもある。
学院側は快諾。近く新井教授が上海に向かい、年度内には締結したい意向だ。両大学を窓口にした上海・佐賀県間の企業交流が大きな一歩を踏み出そうとしている。
【メ モ】
上海交通大学 日本の大学の学部に当たる学院数は19。船舶の研究などが出発点で、大学名に「交通」が入る。学生数は院生などを含め20400人。教授は400人。最近はITやバイオテクノロジーなどの学部志望が急激に増えている。江沢民国家主席がOBであることも人気に拍車を掛けている。
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