2012年3月1日木曜日

吉凶は


ことしは全国を猛烈な寒波が襲い、佐賀県内も数年ぶりに厳しい冬になった。特に2月に入った途端、一気に寒が強くなった。

ラニーニャ現象の影響らしい。南米ペルー沖の太平洋赤道付近で海面温度が低下する現象で、深海から冷水が海面に湧き出てくることで、太平洋で貿易風が強まり、西向きの海流が発生する。

この結果、日本では夏場に猛暑、冬は寒が強くなる。ちなみにラニーニャとは、スペイン語で「女の子」の意味。反対に、ここの海面温度が上昇する現象がエルニーニョ、「男の子」の意味だ。ともに数年おきに「異常気象」と呼ばれる強い現象を引き起こしている。今回も昨年11月ごろ、発生を予測する情報がネット上で流れていた。


ただ、ラニーニャ現象が起き、寒が強くなったからといって悪いことばかりではない。確かに風邪や交通事故は増える。しかし一方で、県内産のノリ生育にはこの寒さが幸いした。

有明海の水温が高くて不振だった秋芽網ノリと違って、冷凍網が好調だ。2月に行われた冷凍アミ3回目の入札会では、今季の販売量が初めて3億枚の大台を突破。前季を0.5%上回る3億2800万枚に達し、販売額も1.2%増の36億9900万円になった。
佐賀が誇る有明海苔の生産には、漁場の低水温が何より重要。高くなるとさまざまな病気や、赤潮など生産不能に陥る環境変化が起きてくる。

「吉凶はあざなえる縄のごとし」。何かことが起きると、すぐにマイナス面が強調されがちだが、もう少し視界を広げればこんなふうにちゃんとプラス面がある。
景気をはじめ、このところ世界中が暗くて寒い。
そんな今だからこそ意識して、明るい、いいことを見つける大切さを、あらためて思う。

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